きのう日記

ときどきしれっと昨日のことを今日みたいな感じで書く

感傷のレゲエ(レゲエ以外の音楽を聴くこと)

私は大学卒業後、4年ほど下北沢に住んでいた。
その間はモラトリアムを謳歌し、いや謳歌というよりそうする他発想がなく、バイトとインターンの生活を1年半ほど続けていた。
その時は「文章を書く仕事をしたい」という気持ちから、とりあえずやってみるかという精神でボランティアライターなど色々やっていた。
そして、面白そうなことがあれば積極的に出かけていき、とりあえず自分の目で確かめてみようという野心、冒険心があった、気がする。

そして下北沢の気流舎へはそんな好奇心が手伝って足を踏み入れた場所だった。
最初に足を踏み入れたのがいつで、そのきっかけになった動機というのも思い出せない。
そこでは色んな人と出会ったのだけれど、その中でも今日書こうと思ったのは長谷川さん、最近起こった長谷川さんにについての不思議なリンクについてだ。

ここブログは自分のために書くと決めているので、長谷川さんがどんな人でどんな思い出がありということは書かず、最近あった面白い出来事について記録しておこうと思う。

長谷川さんの訃報をきいたのはちょうど1年ほど前。
私が長谷川さんと気流舎でよくお話しした時期というのは上にも書いた大学卒業後の4年のどこかだけである。
たぶん2014年、2015年から2017年の間だけ。それっぽっちだ。

にも関わらず、長谷川さんと話をした時の記憶というのは、気流舎の、目に優しいあたたかい明かりの下たちのぼるアジトのようなムードをまとっており、

とても強い記憶。

ゲラゲラ楽しく笑いあうこともあれば、なんか嫌なことを言われ気まずい雰囲気に耐えられず足早に逃げてしまうみたいなこともあり。
とはいえ長谷川さんの訃報を聞いてから、折に触れ長谷川さんとの会話を思い出している。

ちょうど今年の夏に東京で行われた長谷川さんのお別れ会に行ってきたが、その際に形見分けみたいな感じでもらったCD。たまたま手に取ったらハーポ部長から「レゲエのレジェンドです」的なことを言われて、そのまま持ち帰る感じになった。
それがCarlton&The Shoesだった。

私はレゲエを聴かない。
前に飲み会で面白いことがあった。たまたま隣に座った音楽ライターの子と音楽の話になり、「どんな音楽が好きですか?」と聞かれ、「レゲエ以外はなんでも聴くかも。実は前ほど音楽そんなに聴いていなくて。でも学生時代に山下達郎のライブに行った時に『ライブに行くなら山下達郎だけでいい』と思うくらいは感動して、山下達郎はずっと聴いてしまうから好きなのかも」という話をしたところ(答え方がめんどうくさい)、「確かに山下達郎はレゲエ以外かも」と言われたのだった。
理由はわからないけれど、レゲエに触手がのびない。
そう、そして話を戻すと私は今年の夏、そのお別れ会でレゲエを貰ってきたのだった。

そしてつい最近私は髪を切りに行ってきた。
そこで切ってくれた人はDJをしているらしく、音楽の話になった。
そして久しぶりに耳にする質問「どんな音楽好きですか?」

たぶん私は面倒くさがりなのかもしれない、できるだけ相手が共通点を見つけやすいようにという気持ちがあるのかないのかは定かではないが、なんでも容器の大きなほうで答えようとしてしまう。
「レゲエ以外は割となんでも」

でも面白いもので、そう言うとレゲエについて色々教えてくれる気概のある人というのはいる。
そしてその美容師の方もそういう方だった、そして「たぶん聴かないから知らないだけで、色んなレゲエがあるんですよ」とレゲエの話をしてくれた。
そしてオススメのアーティストを教えてくれたので、とりあえずiPhoneにメモしたのだった。
家に帰り、Spotifyを立ち上げメモを見ながらアーティストを調べた。
そうすると、見覚えのあるジャケット。

「アナタでしたか!」そんな心境で長谷川さんのCDを取り出した。

そしてそれから1週間、ほどなくしてハーポ部長から「長谷川さんのZineできました」と連絡をいただいた。
長谷川さんに呼ばれているような気がした、というか私が呼んでいるのかも。笑

そういえばそのお別れ会にて、長谷川さんのCDラックを前にして私の夫もハーポ部長から「どんな音楽聴きますか?」ときかれていた。
夫はメタル聴きであるが、「メタルとクラシック」と答え、「ああ色んな音楽があるけど、その2つだけは無いかも、、、形式美が好きなんですね」なんて言われていた。笑
そして私も思い出した、「私の聴く音楽はレゲエ以外じゃないな、レゲエとメタル以外の音楽だ!」と。

お別れ会で持って帰った時以来に CDを引っ張り出して聴いてみた。
ほのかにまだインセンスが香るCD、この香りもいつか消えてしまうのだろう。